今から1年半前まだ仙台高等技術専門校で訓練を受け始めたころ竹垣づくりにはじめて挑戦しました。訓練校で四ツ目垣の製作実習が始まったころでした。実習で使い終わった竹は持ち帰ることが出来ましたが、ほとんどは廃棄処分されるために野積みされていました。そこで、廃棄された竹を自宅に持ち帰り竹垣を作ってみたわけです。
自宅は45年前に建てられ何度かリフォームしていますが、外構までには至っていませんでした。
ご覧の通り錆びだらけ。そこでこのフェンスを外すことにしました。ここで一つの課題が出てきました。網を固定しているポールがコンクリートに埋め込まれています。これを切断するとコンクリートの内側に杭を打たなければなりませんが、木も太くなっており、内側に杭を打つと竹垣と干渉することになるのでポールはそのままにして竹垣を作ろうと考えました。太い竹なら節を抜き上からかぶせれば可能ではないかと。しかしそれは安易な考えでした。
竹は塩ビ管と違って同一口径が確保されておりません。節を抜いただけではポールが挿入できなかったのです。そこで、竹を割り、ポールの周りを覆い塩ビの結束帯で固定する方法にしました。
こんな形になりました。胴縁を固定する杭の部分(ポールを覆った部分が長いではないかというご指摘があると思います。実はこれで竹垣が完成したわけではありません。生垣の剪定の時、先生から「生垣は下から上まで緑でおおわれているのもよいが、目隠しとしての役目ならば人の目線の高さに緑があれば用を足す」ということでした。その話を思い出し、道路から140㎝程度の位置に目隠し用の建仁寺垣を作ろうと思ったのでした。
ぬめ板と胴縁を設置しました。かき集めた竹材は95㎝のものがほとんどなので、有効活用で45㎝に切りそれを4分割にして立子を作りました。
立子は家側と外側の二枚一組で針金で固定しています。当初棕櫚縄と針金のどちらで固定するか迷いましたが、耐久性を考え針金で結束しました。
押縁を固定してとりあえず道路側の一部が出来上がりました。
側面(通路側)も一応押縁で固定。ところが写真のほぼ中央の玉縁のところを見てください。玉縁と押縁に竹が3本になっているところがあります。これは、中に隠れている胴縁が少し下に設置したことと立子を表裏に設置したため厚みが増したため玉縁に収まりきらなかったということで、そこを隠すため竹を押縁と玉縁の間に入れて修正したものです。どうにか出来上がりました。
昨年、道路側の四ツ目垣を一部修正しました。修正箇所は四ツ目垣の部分です。まず、四ツ目垣の胴縁の高さを変更しました。奥の竹垣と段差が出来ているのでわかると思います。また、野良猫が出入りするので立子の結束が甘い箇所はすぐ立子が傾きます。そこで真ん中の胴縁との固定をからげ結びにして固定しました。
実際、自分で竹垣を作ってみて勉強になったことは、植栽がある中での作業は難しいということです。いぼ結び一つにしろ体を立子の中心に構え作業ができるとは限らないこと。体が斜でも結束が出来なければいけないということ。そこで、からげ結びという方法で体の自由が利く方向から一気に結束するという方法を取りました。
竹垣には真行草の形というものがあり、「真」の形は古くから伝わっている作り方で素朴なつくりです。それをより磨きをかけて美しくしたのが「行」の形。「真」と「真」、「真」と「行」の組み合わせ創作したのが「草」の形になります。なので、この竹垣は「草」の形ということになると思います。
庭が狭いので樹木に風が通ること、ある程度の目隠しが欲しいということで竹垣を作りました。最近ではプラスチック製の人工竹垣なども目にすることが多くなりました。きれいで耐久性があるのは事実です。しかし、立子の太さや色が一本一本違うのも味があるのではないでしょうか。
とりあえず出来上がりはこんな形になっています。初めての挑戦にしては上出来だったと思います。補正する箇所はまだまだあります。経験は少ないとはいえ今はプロなのでお客様の満足いくような仕事をしなければなりません。我が家の庭は竹垣も含め実験場であり、研修施設であります。